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外照射治療

放射線治療

放射線治療では、X線、電子線、ガンマ線などの放射線を用いて、悪性腫瘍や一部の良性疾患に対して治療を行います。

放射線治療には、放射線を外から照射する「外照射」と、放射線を出す物質(放射性同位元素)を閉じ込めた小さいカプセル(小線源)をからだの中にいれて、内から照射する「小線源治療」に分かれます。

外照射 小線源治療

 

外照射

外部照射は、通常、直線加速装置(リニアック)と呼ばれる装置にて治療を行います。

リニアック

 リニアックの照射口には、図のように、多分割絞り(MLC)と呼ばれる絞りがついており、腫瘍の形に沿った形状の放射線を出すことができます。

(1) 外照射治療のながれ

CT撮影 【CT撮影】
放射線をあてる範囲を決めるため、CTを撮影します。その際、からだに3箇所程度、マジックでマークをつけます。
*頭や顔、首の治療では、「プラスチックの固定用マスク」を作成し、治療前につけてもらいます。
治療計画 【治療計画】
CT画像をコンピュータに送り、医師・放射線技師が、治療する範囲、放射線のエネルギー、量などを決定します。
治療計画には通常数日以上必要です。

【治療開始】
放射線治療は、通常1日1回で、月曜日から金曜日まで毎日行います。(土・日・祝日はお休みです)。
通常、1回にかかる時間は10-15分程度で、実際に放射線が出ている時間は2-3分程度です。治療中は、痛みや熱さは感じません。
治療は通常10~40回必要で、土日・祝日(年末年始)を除いて毎日行います。治療の回数は病状・部位などによって決まります。
治療は、外来でも入院でも可能です。入院ご希望の方は、放射線科担当医にお尋ねください。

(2)高精度放射線治療

1)体幹部定位放射線治療

CT撮影 体幹部定位放射線治療とは、肺がん、肝がんなどの体幹部の腫瘍に対し、数mm以内の精度で、多方向から大線量、少数分割の放射線をピンポイントに集中させることにより、副作用を軽減しかつ局所コントロール率を上げる方法です。
体幹部定位放射線治療

上記のように、多方向から集中させることにより、放射線を集中させることができ、大線量を投与することが可能となります。

当科では、九州では最も早く、体幹部定位放射線治療に取り組み、多くの患者さんを治療しています。また、独自の固定具の開発、呼吸同期装置の開発を行っています。

2)強度変調放射線治療

強度変調放射線治療(IMRT;intensity-modulated radiotherapy)とは、ビームの中の放射線の強さを変えることにより、腫瘍の形状にあわせて放射線をあてる放射線治療法のひとつです。この方法により、正常組織の被ばく線量をさらに低減できるようになります。

強度変調放射線治療

強度変調放射線治療は、治療装置の照射口に取り付けられた多分割絞りと呼ばれる装置を同じビーム内で動かすことにより、コンピュータで計算された最適な放射線の分布を生み出すことができます。

各方向からのX線ビームは小さい部分に分けられ、各々の強度を変えながら、合計として最適な放射線の分布となるように治療が行われます。

強度変調放射線治療

3)画像誘導放射線治療

これまで治療機で画像を撮る場合はリニアックグラムといわれる照射野の形状と骨構造の関係をみるのみでした。現在は治療機に透視装置が搭載されるなどにより、これまで以上に鮮明な2D画像やCT画像を撮像する事が可能になりました。画像誘導放射線治療とはこの画像を毎回の照射の際に撮像し、照射する部位の修正を行うことによって、これまでよりも高い精度で照射を可能にする技術です。

画像誘導放射線治療

正面・側面の画像を治療計画用CTから作成しておいて、照射直前の正面・側面の透視画像とのずれを確認することができます。

画像誘導放射線治療

照射直前に治療装置でCTを撮像し、治療計画用CTと重ね合わせてズレの様子を確認することができます。

画像誘導放射線治療

前立腺の治療の場合、直腸と前立腺の関係がその後の障害に大きく関わるため、毎回の照射で位置を補正する事でより精密に治療しています。

画像誘導放射線治療 画像誘導放射線治療